2017年12月01日

フルトヴェングラー没後63年に

 
11月30日はヴィルヘルム・フルトヴェングラーの命日。(1954年没)
ほぼ毎年、思い付きでディスクを手に取り、のんびりと聴きながら巨匠の音楽づくりや人となりに思いを馳せている。
今回選んだのはハイドン。
 
§交響曲第94番ト長調
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1951年1月、ムジークフェラインザールでのセッション録音
 
第1楽章の序奏、木管群の古雅な音色とそれに応答する弦楽器のやわらかな響きが美しい。
主部 (Vivace assai) に入ってからも音楽は落ち着きはらった朗らかさをもって自然に流れてゆく...同時代の作曲家であるモーツァルトへのアプローチとはかなり異なるところが興味深い。
かといってフルトヴェングラーが何もしていないわけではなく、スコアにないスラーをそっと付けたり、主旋律のアウフタクトにわずかなテヌートをかけるなど、さりげない工夫がそこここに施されている。
 
『驚愕』のニックネームの由来となった第2楽章、ここでもフルトヴェングラーはAndanteを遅めにとり (この解釈はやや “時代” を感じさせるが)、メロディをじっくりと歌わせるのだ。
16小節目の例の一撃も、インパクトを効かせるというよりはどっしりとした音の柱のよう。
楽章半ば、音楽がハ短調に転じドラマティックに展開する部分では遅めのテンポが功を奏し、主題モティーフと三十二分音符の走句との絡み合いが克明に描かれる。
 
後半二楽章も同様に明快かつ清澄な音楽が繰り広げられる。
ハイドン特有のユーモアや意外性はここにはないが、端正なプロポーションの彫像を観るような愉しみがある。
 
この録音、当然ながらいわゆる「旧全集」の時代のものであり (いわゆるランドン版が世に出るのは1960年代である)、現在の我々が耳にするクリティカルエディションとは強弱やアーティキュレーションが多くの部分で異なっているが、そのことを差し引いてもフルトヴェングラーの演奏は、音楽する歓びにあふれた説得力の強いものである。
“セッション録音のフルトヴェングラー” も実に佳いものだ。
 
 
 
 
 
 
 
posted by 小澤和也 at 18:22| Comment(0) | 日記

2017年11月28日

バチカンに響いた『花は咲く』

 
NHKテレビで放送された「バチカンに響く花は咲く」を視聴。
この10月にバチカン・日本の国交75周年を祝う記念ミサが執り行われ、その中で『花は咲く』が歌われたのだそうだ。
 
僕自身このメロディを聴くたびに (あるいは想像するだけでも)、“あのとき” のさまざまな記憶が呼び起こされる。
そして常に “忘れまじ” という堅い決心と遣り場のない哀しみとがないまぜになった、どうしようもなく切ない気持ちでいっぱいになるのだ。
 
 
ビカリアート聖歌隊の歌声が流れ出す。
サン・ピエトロ大聖堂の豊かな残響、その中で
ゆったりととられたテンポ。
まさに「祈りの音楽」だ。
コーラスに寄り添うオルガンも、心のざわめきをすべて取り去ってくれるかのような清らかな響き。
テキストはオリジナルの日本語。
おそらくは
“Ma-scilona, juchimici-ni,
  Halukase, kaolu...” etc.
のようにルビが振られていたに違いない。
とはいえ発音はイタリア語式であるから、人→いと、励ましてる→あげましてる、そして何といっても花→あな になってしまうのは致し方ないところだろう。
 
このように、僕らのよく知るそれとはいささか趣を異にする『花は咲く』ではあったが、僕の心は静かに、しかし深く揺さぶられた。
声そのものの持つ “力“ を聴いた気がする。
 
 
posted by 小澤和也 at 23:59| Comment(0) | 日記

2017年11月19日

ベルギー大使館オープンデー

 
ベルギー大使館オープンデーへ出かけました。
(18日、千代田区・駐日ベルギー王国大使館)
 
エントランス。
インパクトのあるManneken Pisがお出迎え。
 
 
 
フィリップ国王のパネルと白/日両国の国旗。
 
 
 
特命全権大使、G.スレーワーゲン閣下のスピーチを謹聴。
 
 
来場者からの質問に答える外交官の皆さん。
「日本へは希望されて赴任なさったのですか?」
『はい、私は第一希望でした』
「日本の食べ物で好きなものは何ですか」
『かぼちゃです』(この方はベジタリアンとのこと)
etc.
質問はフランス語に訳され、それに対するお答えが英語...うーむ、さすがは "ヨーロッパの首都"!
 
 
スレーワーゲン大使とのじゃんけん大会。
勝利者にはタンタンのノベルティグッズが贈られていた様子。
(僕は第一回戦で早々に敗退でした)
 
最後は別室にてベルギーワッフルやチョコレートをいただきました。
 
 
 
 
"すごく目新しいこと" は特になかったけれど、ゆったりとした雰囲気の楽しい催しでした。
 
あ、そういえば。
 
 
大使館職員の方にこんな写真を撮っていただきました。(*^o^*)
 
 
 
 
 
 
 
 
posted by 小澤和也 at 15:44| Comment(0) | 日記

2017年11月15日

演奏会のお知らせ

 
 
§立川市民オペラ公演2018
§ヴェルディ『椿姫』 全3幕・原語上演
 
2017年3月17日(土) 18時開演
/18日(日) 14時開演
たましんRISURUホール (立川市市民会館) 大ホール
 
総監督:砂川稔
演出:直井研二
指揮:古谷誠一
管弦楽:立川市民オペラオーケストラ
合唱:立川市民オペラ合唱団
副指揮:小澤和也 他
 
キャスト (17日/18日)
ヴィオレッタ        鈴木慶江/鳥海仁子
アルフレード   金山京介/澤ア一了
ジェルモン           牧野正人/清水勇磨
フローラ            中野瑠璃子/吉田貞美
ガストン子爵     川久保博史/井出司
ドゥフォール男爵 東原貞彦/小野隆伸
ドビニー侯爵     照屋博史/木村聡
医師グランヴィル 山田大智/金子慧一
アンニーナ           佐田山千恵/小村朋代
 
 
チケットは今月24日より一般発売開始です。
みなさま、どうぞおはこびくださいませ。
posted by 小澤和也 at 13:30| Comment(0) | 演奏会情報

2017年10月26日

ヨハン・シュトラウスの誕生日に

 
 
 
10月25日はワルツ王ヨハン・シュトラウス2世の誕生日。
(1825〜1899.06.03.)
 
生まれてはじめての作曲は6歳のときとのこと。
その後、18歳で自身の楽団を立ち上げデビューを果たしてから亡くなるまでの半世紀あまりの間に、彼はおよそ500のワルツやポルカ、オペレッタや行進曲を書いた。
 
僕はそれらのうちの何曲くらい聴いただろう。
一度きりのものを含めて数えても...100曲程度だろうか。
 
幼い頃、家にボスコフスキーの指揮によるウィンナ・ワルツのレコードがあったことをよく覚えている。
特製の青い樹脂ケースに収められた2枚組のLP、ジャケット表にはヴァイオリンを構えるボスコフスキーの姿。
ネット上を探すと、それらしき画像が出てきた...懐かしい。
 
 
 
ここで仮に、好きなシュトラウスのワルツを一つだけ挙げよと言われたとしたら、僕は迷わず『南国のばら』を選ぶ。
自作のオペレッタ「女王のレースのハンカチーフ」のモティーフを用いてワルツにし、このオペレッタを好んだイタリア国王ウンベルト1世に献呈した作品。
ワルツの各主題は気品を感じさせつつもどこか哀しげである。
序奏部からすでにロマンティックな和声進行に溢れており、和也少年はその最初のクライマックスが "鳥肌が立つほど" 大好きだった。
 
もし3曲まで選ぶことを許されるならば、加えて『皇帝円舞曲』『芸術家の生活』を採るだろう。
『皇帝〜』はいうまでもなく名曲中の名曲。
なんといっても管弦楽のサウンドが素晴らしい。
(ブラームスもこの曲のオーケストレーションを賞賛していたということを最近識った)
序奏部の堂々たる行進曲、上質なビロードの肌触りのような第1ワルツの冒頭、そして第3ワルツ後半、トランペット&トロンボーンによるテーマの高貴な美しさ!
これらすべてがハ長調で奏でられるのだ。
モーツァルト『ジュピター』、ヴァーグナー『マイスタージンガー前奏曲』と並べても引けを取らない "王者の風格" を湛えた響きだと思う。
 
上記の2曲が演奏会用の作品であるのに対し、『芸術家〜』は舞踏会用ワルツである。
『南国〜』『皇帝〜』ほどきらびやかではないが、音楽は豊かにそして真っ直ぐに流れてゆく。
この曲で僕が特に好きなのが、ヴァイオリンが文字どおり "弦をかき鳴らす" ように始まるコーダである。
コーダ部では通例、これまでの主題が回想され最後に第1ワルツが回帰するという流れになるのだが、ここでのシュトラウスの筆の冴えは実に見事である。
構造を大まかに記すならば
 
||: 第3ワルツ(前半) →第5(前半) :|| →第5(後半) →第2(後半) →第3(後半) →第4(後半) →第1ワルツ回帰
 
と、既出の素材のほとんどが巧みに用いられているのだ。
さらにはその調性も、
へ長調→ホ長調→変ホ長調→ニ短調→イ短調→ハ長調
まさに目眩く変化!
 
以下余談...
この曲の原題は "Künstlerleben"。
leben=英語のlife ということで、これまで長く『芸術家の生涯』と呼ばれることが多かったが、日本ヨハン・シュトラウス協会が『〜の生活』と表記を改めたのだそうだ。
 
さらに余談...
正直に告白すると、"好きなシュトラウスのワルツ" 第3位は『天体の音楽』なのだ。
ただしご存じのとおりこれは弟ヨーゼフの作品である。
よってここでは敢えて選外とした。
 
 
こちらは現在の愛聴盤。
(やっぱりボスコフスキー)
 
以前にも書いた記憶があるが、シュトラウスの音楽は僕にとって "母乳のような" ものなのである。
 
posted by 小澤和也 at 02:13| Comment(0) | 日記